バックパスのルール

サッカーにおけるバックパスには、2つの定義があります。
・攻撃方向とは逆方向にボールを「下げる」行為
・味方の「ゴールキーパー」へのパス

まず、攻撃方向とは逆方向にボールを「下げる」行為は、フォワードからミッドフィルダー、ミッドフィルダーからディフェンダーというように、後方の選手にパスをすることを意味します。

一見、攻撃方向とは逆方向にプレーしていて消極的だと思うかもしれませんが、得点を取るために有効なプレーの一つです。

特に、パスを回しながらチーム全体で相手ゴールに近づいていく(ビルドアップ)際に、一度ゲームを作り直す時間を生み出すことができるという点で有効であると言えます。

当然、得点を取るために相手ゴールまで一直線に進むことはできません。そのため、前後左右にボールを動かしながら前進する必要があります。

また、角度をつけたバックパスを使うことで相手を撹乱させ、容易にビルドアップを行うことができます。


次に、味方の「ゴールキーパー」へのパスには一定のルールがあります。
簡単に説明すると、ゴールキーパーは味方選手からのバックパスを手で扱えません。もし手で扱ってしまった場合には、ペナルティエリア内であれば手で扱った場所から相手ボールで再開されます。

再開方法は、ファウルやハンドなどの際に行われる直接フリーキックとは異なり、「間接フリーキック」です。

ただし、ゴールエリア内でゴールキーパーがバックパスを手で扱ってしまった場合には、「手で扱った場所から最も近いゴールラインと平行なゴールエリアのライン上」が再開位置とされます。

全てのバックパスを手で扱ってはいけないというわけではなく、手で扱ってはいけないのは次の2通りの場面です。

・同じチームの選手から足(くるぶしより下)で意図的に蹴られたバックパスを受けた場合
・同じチームの選手からスローインでボールを受けた場合

つまり、足以外でのバックパスや、足でのバックパスでも意図的でない場合は手で扱うことができます。足以外とは、頭、肩、胸、膝、太もも、すねなどを指します。

手で扱えないのはなぜか

ゴールキーパーへのバックパスを手で扱ってはいけない最も大きな理由は、「時間稼ぎ」を防止するためです。

このルール改正はそれほど昔の出来事ではなく、1992年に行われたものであり、比較的新ルールです。きっかけは、1990年のワールドカップイタリア大会でアイルランド代表のゴールキーパーであったパット・ボナーが、引き分け狙いのために約6分間時間稼ぎをしたことです。

当時はゴールキーパーがバックパスを手で扱ってもよかったため、味方とパス交換をしてボールをキャッチすることで時間を経過させることができました。

しかし、こうした消極的なプレーは、実質のプレー時間を減少させ、早い展開をとめてしまうので、サッカーの面白さが削がれてしまいます。姑息なプレーは紳士のスポーツと呼ばれるサッカーには向いていませんし、当然のルールだと言えます。

手で扱えるのが許されるのは

足以外でのバックパスや、意図的でないバックパスは手で扱ってもよいです。では、意図的か意図的ではないかはどのように判断するのかというと、これにはきっちりとした決まりはなく、「主審の判断」で決まります。

ミスキックのボールや単に味方の足に当たったボールを手で扱うことはできますが、明確な判定基準は定められておらず、主審がパスなのかを判断するため、紛らわしいボールであれば手で扱わない方が得策です。

また、足以外でのバックパスが全て許されるというわけではありません。

例えば、足以外でバックパスをするために、わざとボールを浮かせてヘディングでゴールキーパーにバックパスをしたとします。

この時、「足以外で」というルールを満たしてはいますが、競技規則の精神に反するとみなされます。そのため、反スポーツ的行為として警告が与えられ、相手チームに間接フリーキックが与えられます。

他にも、スローインのボールを意図的にヘディングでゴールキーパーにパスすることなども競技規則の精神に反するとされます。

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